留学先をどう決めたか

すみません、びっくりするくらい久しぶりになってしまいました。。。

今回は、私の留学候補先決定までについてシェアしたいと思います。

 

1.何の研究をするか

会社で既に基礎研究を進めており、そのテーマを持っていくのであれば、何も悩むことはないと思います。私の場合は、会社でバリバリ基礎研究をやっていたわけではなく、また会社から特別この技術を学んできてくれ、と言われたわけではないので、ここは結構悩みました。

会社の留学制度を利用するからには、以下の2点を考えていました。

  • 会社にとって有用な技術かどうか
  • その技術は自分の持っている専門性と一致しているか

研究テーマを考えるに当たって、まずは自分の専門が何なのかを考え、その後に、その技術を利用した有用な研究技術を探すことにしました。②⇒①の順番です。

私は元々、天然物のモノトリの出身で、低分子の分取精製とNMRやMSを使った構造解析が専門でした。会社に入ってから色々な分析機器を使えるようになりましたが、他人と比較して長けている技術といったら、NMRでした。

一方で、アカデミックでNMRの研究というと、ほぼバイオ系の高分子化合物が対象で、今まで低分子を専門に扱ってきた自分としては、高分子化合物をターゲットとして研究することへの不安が強くありました。なので、自分の専門分野ではなくとも、会社にとって有用な技術として、NIR等を使ったPAT技術の研究等をテーマにすることも考えました。

幸いなことに上司は私の相談を快く聞いてくれる方だったので、相談したところ、やはり今まで特に専門としてもいない技術を学びにいくのは、対外的にも説明しづらい部分があるのでは、というコメントをもらいました。社内選考を意識した場合に、まずここがネックになるとは思っていたため、やはり技術としてはNMRにすることにしました。

ではNMRを使って、何か会社に有用な技術があるかどうかですが、ここはNMRがパワフルな技術として近年も広く利用されているため、困りませんでした。

近年のNMR機器の発達に従い、NMRの構造解析の対象は低分子から高分子へ移り、X線結晶構造解析に代わる構造解析技術として、大きく注目されています。また溶液での測定が可能なことから、生体内に近い状態での構造解析ができたり、またダイナミクス解析も可能なため、バイオ医薬品に力を入れようとしている会社にとって、NMRを使った高分子化合物の構造解析技術は非常に有用と考えられました。よって「NMRを使ったタンパク質の高次構造解析」を私の研究テーマとして設定しました。

 

2.留学先をどこにするか

会社によっては、例年特定の研究室に入れ替わりで行ったり、共同研究先として繋がりのあるところへ行ったりなどで、選ぶまでもなく決まっている場合もあるかと思います。私の場合、留学制度が初年度ということもあり、繋がりを作るのも課題の一つであったため、一から探し始めました。

国すら自分で決めることができましたが、会社として米国展開に力を入れるという目標が大きくあったため、米国にしようと考えていました。やはり世界一の大国で、一度自分の目で様々なものを見てみたいという想いもありましたし。

研究については一度置いておいて、純粋に一年間アメリカで留学に行くならば、どこが良いかを考えたときに、以下の2点を考えていました。

  • 治安が良いかどうか
  • 都市部に近いかどうか

また大学のランクというのもある程度気にしていました。やはり留学に行くからには、ある程度レベルの高い大学で研究をしたいというのと、あまりに難関すぎる場合、周りについていけず、辛い想いをするだけなのではないかという不安と、葛藤していました。

ちなみにアメリカの大学の仕組み(セメスター制やランキングの意味等)については、日米教育委員会のHPがわかりやすいので、おすすめです。

www.fulbright.jp

どこに住みたいかを決めたら、あとは近くにある大学を調べ、大学のHPから在籍する先生の研究内容を見て、論文をチェックしていく、という具合です。

ちなみに大学のレベルについては、地球の歩き方のアメリカ大学院留学用の本を参考にしました。大学ごとにTOEFLやIELTSのスコアを足切りとして設定しているところもあり、そのスコアと大学のランクはある程度比例するみたいです。

 

 

 以上のようにして留学先候補を探していきました。